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なぜ6kHzに強烈な音圧のピークを生じるのか?
音を聞く仕組み
音が鼓膜まで届くには外耳道の影響を受けます。
図1の様に外耳道の長さは一般的に25mm~30mmと言われています。
外耳道は片側が鼓膜で塞がれていますのでλ/4、3λ/4で気柱共鳴します。(開管共振)
図2は25mm~30mmの開管が共振した時の鼓膜の位置での音圧-周波数特性です。
3kHz前後及び10kHz前後が共振により音圧が上昇しているのが分かります。
*実際には耳介の反射の影響や頭部の反射、
回折等の影響を受けもう少し複雑な特性になりますが、
ここでは簡略化の為割愛します。
カナル型ヘッドホン装着時
図3の様にカナル型ヘッドホンを耳に装着すると外耳道が塞がれます。
外耳道の両側が塞がれる事になるので共振のモードが変わります。即ちλ/2、λで気柱共鳴します。(閉管共振)
図4は25mm~30mmの閉管が共振した時の鼓膜の位置での音圧-周波数特性です。
6kHz前後及び12kHz前後が共振により音圧が上昇しているのが分かります。
この6kHzの共振が刺さる様な高音の原因で特サ行の音がきつく快適な音楽試聴の妨げになります。
従来技術での対応
6kHzの共振を抑える為に
図5の様にカナル型ヘッドホンの音の通り道に直列に音響抵抗を設置します。
高い周波数程ほど音響抵抗の影響により減衰するので音圧-周波数特性は図6の様になります。
6kHz前後の共振は抑えられる物の、音楽再生に重要な10kHz以上の音域も大きく減衰してしまう為
有る程度の所でバランスを取っています。