秋のヘッドホン祭2011初披露 ”フラット4(Flat-Four)” 設計者”音”履歴(4)
フラット4の音響技術の開発者 山岸 亮の履歴その4です。
SRS(アクティブスピーカー)時代
幸いな事にHi-Fiのスピーカー部隊とは別の創設したてのアクティブスピーカー部隊への異動でした。
小さな部署ですが、スピーカーユニット担当者も居て、オリジナルユニットの開発から材料による音の違いの検討等、今では考えられない様な試作検討をさせて頂きました。
例えば、パーチクルボードよりも音の良い樹脂を検討しましたが、実に35種類の樹脂を配合して板にしBOXに組み立て音を聴きました。
上記写真のSRS-N100ではこの時の29番目の配合の樹脂を使っています。木質材(パーチクルボード)並みの音質で楕円球に成形したキャビは本当に良い響きをしていました。
このモデルの設計者と言う事で当時の大賀社長に呼ばれ音質について褒められたのを思い出します。
このSRS-N100はオーディオ評論家の江川三郎先生からご提案の有った小型スピーカーによるニアフィールド・リスニングスタイルを商品にした物です。
後に開発したSRS-Z1もこの路線を更に進めた物です。
SRS-N100がスーパーウーファー付きの2.1chに対しSRS-Z1は39mm口径フルレンジユニット1発で全帯域をカバーしました。
フルレンジスピーカーの良さと、材質による音質の違いを勉強しました。
振動板材質については紙を見直したのもこの時期です。
音質の良い順に 紙 > バイオセルロース > プラスチック樹脂 と考えています。
SRSでは国産の紙にこだわり、多くのメーカーが海外製の安い紙に代えコストダウンする中、岐阜の長良川中流域の伏流水で抄紙したコーン紙を使い続けました。
何年もかかって造り上げた音質の良い紙のレシピはそれ自体が芸術です。
コストダウンして良い物と触れてははいけない物が有りますね。
バイオセルロースは紙や、マイカ等に混ぜて振動板にすると威力を発揮します。SRS-N100やSRS-Z1のユニットでこの手法を使いました。
金属振動板もアルミやマグネシウムなどの音も良いのですが、同一仕様で比較していないので省きました。
ヘッドホンの振動板の場合その薄さから紙は無理です。
従ってバイオセルロースも悪くない選択になります。
経験上、断面を切った時に均一な物より不均一な物の方が音が良い様です。
スピーカーBOXの材料としての木材の樹種も検討しました。
結果的には欅が一番色付けが少なく気持の良い音していました。
他に試した中では桜も適度に柔らかくて良い音だったのを覚えています。
欅 ≧ 桜等 > パーチクルボード、MDF、SRS-N100で開発した樹脂 > プラスチック樹脂
余談ですが、ヒバの木は米ぬかで炒る事で強度が増し、木釘に使います。
衝動にかられ、米ぬかで炒ったヒバ材でスピーカーBOXを作りましたが結果は今一歩でした。米ぬかで炒らないヒバ材よりも良い音質では有りましたが。
つづく
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